メカニカルなどのキーボードに興味を持ち始めて、すぐにRealforceを使い始めたというわけではなかった。最初はFILCOの黒軸や茶軸で、静電容量無接点のキーボードとしてはHHKBのほうが先に使い始めていて、Realforceはむしろ後発である。
これは、最初のうちにもRealforceの名は知っていたが、アイボリーのレトロな配色やキーボードとしてのデザインがまずさほど気に入っていなかったことがある。キーボードは黒色系のものを使うと決めていた部分があって、その頃は黒配色のRealforceは出回っていなかったのである。
また、接続方式もPS/2のものが多く、USBのモデルの中には自分の好みの配列が見あたらなかったという点もある。
だがしばらくして、US配列のテンキーレス、変荷重でUSB接続のモデルがあるのを知り、アイボリー配色のものではあったが標準的なUS配列の静電容量無接点のキーボードということで、86Uを購入したのが2009年の夏頃であった。
https://ascii.jp/elem/000/000/166/166411/
この辺の記事によれば、86Uが登場したのが2008年のようであるので、やはりキーボードに興味を持ち始めた2006年頃にはまだ好みのモデル自体が無かったのである。
2006年の冬頃は、ちょうどAOURを考え始めた頃でもあり、キーボードのハード的な環境を良い物にしているのだから、入力方式ももっとローマ字入力やAZIKより違ったものを使ってみたいという考えもあったのである。
その86Uを購入した後も、他のキーボードも併用していたので、Realforceばかりを使っていたという訳でもなかった。他のキーボードに時々交換しつつ、使い比べながらしばらく過ぎ、だが結局Realforceをメインで使うことに、いつの間にかなっていた。
変荷重の打鍵感が良好で、チャタリングなども起こらず、最も快適に打鍵できるように感じたからである。
それ以後も、比較のために他のキーボードを使うようなこともあるが、ほぼ主使用はRealforceになった。多分それが2011年か2012年頃だろう。それ以来しばらく、他の種類のキーボードを購入することは無くずっとRealforceを使うようになったのである。
後になってR2が出てからも、元の86Uや86UBが問題なく機能していたので、しばらくは様子見でそのまま使っていた。今も問題なく機能するのであるが、新しくしてみるのも悪くないとも思って、数年前にR2のRealforceに更新した。
今はR3世代のに置き換わって来つつあるが、もちろんR2は問題なく機能しているし、ひとまずは様子見状態で、今後の状況をみつつ購入するかどうかを考えるという段階である。
自分の主的なキーボードの用途はコーディングではなく、あるいはゲームでもなく、基本的にはこのような文章書きなので、変荷重のタイプのがそれなりに快適である。変荷重が選択できなくても、全45gの押下圧が適度で、これが丁度良い。
一方のHHKBは、2006年末に最初に購入した、HHKB Pro2がその使い始めである。
自分にとっては初めてのUS配列でもあるし、このようなコンパクトなサイズとしても初めてだった。US配列に関しての戸惑いはほとんど無かった。Enterの形状にもおおきなスペースキーにもすぐ慣れた。記号の配置の違いは中々慣れなかったが、使用頻度が低いのでさほど問題ではなかった。矢印キーが無いのは最初は不便であると思ったものの、それでもFnキーとの組み合わせで文章の入力作業などにおいては特に問題ないと思えるようになったし、ファンクションキーが無いことで、それらキーを使う操作は別のショートカットを割り当てたりして、しばらくHHKB Pro2を主で使ったりもした。
最初のHHKBは墨色モデルで、刻印はありのタイプを選んだ。HHKBもUS配列も初めて使うものだったので、最初から無刻印は無謀だと思ったからである。
ただ、そうしてしばらく使っていると、ブラウザやアプリケーションによっては矢印キーやPageUp/Dnキーなどが独立していないと操作が不便なこともあるように感じ、標準的なUS配列をという思いから、FILCOのキーボードやRealforceへと手を伸ばした。
Realforceに主が遷る頃には、おそらくそのRealforceの変荷重との打鍵感の違いで、HHKBの45g荷重が逆に重くも感じて来た。実際にはそんなことはないのであるが、そういう独立キーがないことでの不便感もあって、HHKBを主で長期間使い続けるという、そういう機会は自然と減少していった。
BluetoothとのHybridモデルが出てからも、キーボードは無線より有線であるべきという考えもあったし、HHKBはもう一度使った、あるいは使うことができるので新モデルには興味を持たない状態であった。キー荷重が重く感じた打鍵感も、RealforceがあればHHKBはもう必要ないだろうと思うようになっていた要因ではある。
だがこれも、Realforce同様に静音モデルはどうなのか打鍵感の評判がとにかく良いHHKBをもう一度試したくなり、今度こそ無刻印をとの思いから、Hybrid Type-Sの白色・無刻印を購入した。
Realforceも同様だが、静音モデルの快適さ、高級感などが特に気に入り、また前モデルような、打鍵が堅い感じ、重い感じは全くなく、Realforceの45gよりも少し軽い感じさえして、これならRealforceと両輪のように使っていけると思い、今も時々取り替えてRealforceとHHKBを使うようにしているとおりである。
US配列というものを知ったのもキーボードに興味を持ったからで、それまではJIS以外のキーボードがあるにしても普通に日本語Windows環境で使えるということも知らなかったのである。JIS以外のキーボードは使えないと思っていたのである。
使えると知ってからは、その後全てUS配列のものに切り替えたし、ノートPCのカスタマイズでUS配列が選べる場合も無論、それにした。
少なくともアルファベット部分はJISもUSも同じであるので、US配列にしたからといってローマ字入力ができなくなるようなこともない。かな文字刻印がないという特徴も2段に亘っているEnterキーではなく1段横長になっているのもデザイン的に良いというような違いはあった。記号の配列がしばらくだいぶ怪しい状態だったが、括弧の並びやコロンとセミコロンなどが同一キーであるなど合理的な部分もあり、大きく困るようなことは無かった。配列のバランスが良くキーボードの中心がホームポジションの中心と合っているということなどは後になってから知ったが、今ではもうJIS配列は使いづらいという段階まで来ている。JIS配列では、@マークが何処にあるのか探せなくて困ることがあるくらいである。
ただし、US配列はコーディングをする人、プログラマなど理系用途の人向けのように思われている状況もある。
ほとんど文系作業しかしない自分が、US配列を使う意義は本当にあるのかと毎回考えるが、理系作業で良い物は文系作業にも良いのは間違いない。本来プログラミングのツールであったテキストエディタが今は文章書きにも普通に使われている状況とも似ているかも知れない。
だがやはり、国内でのユーザは圧倒的にJIS配列派が多数で、HHKBはまだ海外ニーズも多くUS配列のもののほうが標準なので全体的にはUS配列・無刻印の利用者の方が割合が高いようであるが、Realforceに至ると、US配列はモデルの選択肢がJIS配列よりもずっと少ない状況で、ほとんど選ぶことができない。
また、加えてUS配列モデルは在庫も十分に確保されていない状況らしく、公式のオンラインショップでしか購入することができない状況が続いていて、US配列のユーザには厳しい状況である。
HHKBにおいても、JIS配列モデルは矢印キーがあるので、US配列のコンパクトすぎる配列を嫌ってJIS配列を選ぶ人も少なくないのではないか。
将来的にUS配列はどうなのかと考えると、世界的な視点ではやはりUS配列は優勢だと思うのであるが、これだけJIS配列は国内で標準になってしまっているので、完全にUS配列に置き換わるということはまず無さそうである。かといって、JIS配列が今後も全ての面において安泰かというとそうでもなく、今の流れで多くの国内メーカーが撤退していったり海外ブランドの端末が主流になってくると、むしろ標準はUS配列ということにもなり、JIS配列とUS配列を融合したものが登場したり、US配列が主流になってくるとも考えられ、JIS配列は逆にオプション扱いにもなる可能性もある。
ただしそれはずっと先であろうとは思う。
少なくとも自分にとってはUS配列は打鍵しやすい。Enterキーがホームポジションに近いというのが一番の理由なのかも知れない。スペースキーが大きく変換操作もし易いというのもある。実感できていないが影響してると思われるのはキーボードの中心とホームポジションとのバランスが適正だという所もあるかも知れない。
見た目のデザインももちろんある。少ないキー数でかな刻印もない、巨大のEnterキーの不正な形状もない。逆にスペースキーが大きすぎるという観点もあるが、これは自然にどの位置でも変換操作ができるということでもあるので、操作はし易い。JIS配列のEnterキーは大きいのは良いとして、2段スペースを取っている意味はあまりない。
US配列と同じ形状・配列にして、減った分のキーへの割当を考えた方が良さそうなものである。
US配列を使い始めて、一番困ると思われている操作がIMEのオンオフで、これはJIS配列にあった半角/全角キーがないことによる。自分はJIS配列を使っていたときも「変換」キーだけでオンオフしていたという経緯で、半角/全角キーはそんなに重要度は高くなかった。それでもUS配列には変換キーもないので、標準のAlt+`でやっていくのが使いづらければ、Ctrl+スペースなどに割り当てる必要があって、自分はそうしている。
Ctrlキーの位置は使いやすいAの横にも変更するので、自分としてはこの操作がもっともし易く、その後JIS配列においてもIMEのオンオフ切替はこの操作、Ctrl+スペースを使うようにしているくらいである。
そのほか、括弧キーの並びが横方向になっているなど、US配列の方が合理的な面があり、IMEをオンにした状態での和文入力にも何ら困ることはないのである。
JIS配列派の心配として、円記号が入力できない、そのキーがない、括弧のキーがない、などと危惧している輩が多いようだが、円記号はバックスラッシュとコードが同一だという基礎的な知識があれば、バックスラッシュキーがそのまま円記号キーになることは容易に想像できよう。括弧についてもパーレンがそのまま鉤括弧になることも、普通の知識があれば簡単に想起できるはず。
従って、ある程度基礎的な知識があるユーザであれば、US配列に乗り換えたとしても、多少の習熟期間は必要かも知れないが、何ら問題はなく、快適に利用していくことができるのである。
Ctrlキーの位置についても自分はPC-98からの流れでAの横位置にないと使えないので、それまでも何らかの方法によりCapsキーと入れ替えて使っていたが、Realforceなどはハード的な設定で入れ替えられるしHHKBは最初からCtrlがAの横にあるので、Windows設定に影響を与えること無くそういう環境になっている。会社PCなどで勝手に入れ替えられない環境は使いづらい。
IMEはATOKである。PCを使い始めたときからずっと主使用はATOKであるので、これを今後もずっと使い続けていくことになる。
ATOKを選択したのは、当時は一太郎が主流であってそれに付属しているのがATOKであるという分もあるが、当時から最も変換効率や性能が高いなどの評判で国内で最も選択されているIME(当時はFEP)だったからである。
変換効率の高さは他との比較は正直なところはよくわからないが、何といっても、2007年に取り入れたAOURでの入力方式が、そもそもATOK向けに作成しているということもあるくらいで、ATOKでなければ十分にその特徴が発揮できない面もあるので、兎にも角にもやはり今後もATOKでなければならないのである。
AOURは、普通のローマ字入力に飽き足らずに拡張入力を備えたAZIKを使っていた流れで、もっと効率の良い拡張入力を備えた行段系方式をということで考えたもので、当初はACTなどがそのまま取り入れられないかと考えたものの、ATOKの制約のせいでそのまま取り入れるのは難しく、ATOK用に調整が必要で、言わばその調整をしたものがAOURである。Dvorak配列をベースにはしているが、やはりDvorakとは同一というわけではない。
二重母音や撥音節拡張を取り入れようと思ったらルール化が必要で、通常のローマ字入力の配列では規則性に限界が生じる。少なくとも、母音は左右何れか一方に並べる必要がある。Dvorakはそもそもそういう配列になっているので、拡張入力方式を割り当てるのにも最適なのである。SKY配列は逆の右側母音となっているが、これだとATOKの場合は句読点の制約があるので、それをベースにした配列は実現できないことになる。
ただし、SKY配列のように右側に母音がある方が、合理的であるような気もする。
AOURは、ATOKだけではなくGoogle日本語入力においても可能となるよう定義ファイルを用意してあるし、配列変更ソフトのDvorakJ用の定義も作成してあるので、一応MS-IMEの環境でも使える方法はある。ただし、最新のMS-IMEではこのDvorakJが十分に機能しないことがあるようで、その場合は以前のバージョンのMS-IMEに戻す必要がある。
以上、キーボードと入力方式についてまた駄文的に書き綴ったが、同様の文章は何度も、毎日のように書いているので、特別それらと比較して新しいようなこともないのである。