ATOKでAOUR

投稿者: | 2022-07-17
AOURの盤面図

自分は普段、普通のローマ字入力は使っていない。かといってかな入力でもなく、親指シフトでもない。それ以外にも数ある入力方式のうちの一つで、AOURと名付け他を参考に自分で考案した方式を使っている。
この方式、AOURの特徴は、大きな所では二つある。一つはDvorak配列をベースにしたキー配置で母音が左手ホームに五つ並んでいること。もう一つは拡張入力として単音以外にも数々の定義を割り当て、省打鍵入力ができるようにしていることである。

Dvorak配列のキーボードは、米国ではQWERTY配列に次ぐ第二の配列として普及しているキーボードの種類で、AIUEOの五つの母音キーが左手ホームに集中した配置になっているなど、和文のかな文字を行と段に分けて、ローマ字入力をするのにも整理がし易く、習得もし易い。このような配列だと、母音に関係する二重母音などに定義を割り当てるのに体系化しやすく、割り当てた定義も位置で覚えやすいので、比較的学習コストが少なく省打鍵入力の環境を取り入れることができる。

このような方式には、普通専用のキーボードが必要だったり、読み替えの仕組みが必要だったりして、それだけでハードルが高いと思われがちだが、自分の方式ではATOKのスタイルファイル、ローマ字定義のカスタマイズだけで実装できるので、導入にかかる手間も最小限である。ローマ字定義の実装なので、IMEをオンにしてかな入力状態にしている時だけこの方式になり、半角入力、IMEオフの状態では従来通り、QWERTYキーボードの配列のままである。
ATOK以外でも、Google日本語入力用の定義もあり、更にはDvorakJという読み替えソフトでも使えるようにしてあるので、Windowsではほとんどの環境で使うことができるようになっていて、将来的な環境の変化にも対応は可能としている。

AOURでは、単音については基本的にローマ字入力同様に子音と母音の組み合わせで2打鍵で一つのかなを入力する。撥音の「ん」や促音の「っ」にも単一のキーを割り当てたり、長音符号も小指延ばし位置の打鍵しやすい位置に割り当てたりしている。
ここまででは、ローマ字入力とはさほど効率的には変わらないが、さらに並んだ母音キーの上下の段のキーを母音に応じた頻出の二重母音や撥音節に割り当てるなどにより、2打鍵で2つのかなを入力させたりすることで、打鍵数を減らし、高速入力や疲労軽減の効果を見込んでいる。

他にも幾つかの拡張的なルール割り当てで、通常のローマ字入力と比較して、18~20%程度の打鍵数減を実現しているのである。
拡張入力のルールまで習得するのは大変そうに思えるが、通常のルールだけ最低限覚えて、後は必要に応じて習得していけるので、自然に指も慣れて次第に入力速度も向上してくる。

自分はこの方式を、現時点で15年以上使い続けている。最初は、人と違った方式で打鍵して文字入力をしたいという思い程度で始めたものでもあったが、今ではもうこの方式でなければ基本的に快適にキーボードで和文入力ができないというくらいになっている。

ただし、まだ普通のローマ字入力も何とか使える。一度覚えたものはそう簡単には忘れないようだ。
会社の共用のPCなどでは勝手にAOURに切り替えることができなかったりもするので、そういう時に備えて普通のローマ字も使えるように維持しておかなければならないなど、完全に全てAOURで過ごすということもまた難しいので、そういう点での欠点はある。
また、ATOKの制約に合うようにカスタマイズした定義であるので、Dvorak配列に準拠できない部分もある。

AOURの定義や詳しい説明は、Webサイトを構築してそこで公開している。

https://aourkbd.net/

一応定義の根幹部分は今後も変えないつもりだが、時々、拡張入力のルールを再考したりして、適宜新しい版に入れ替えたりもしていて、今では最初に考案した頃と比較しても、ローマ字入力との打鍵数減少率が1.5%程向上している。