かな入力方式は不要

投稿者: | 2009-11-14

昔から、ローマ字入力が良いのかかな入力が良いのかと論議されているが、今に至っては、もうかな入力は不要である。

誰もが言うローマ字入力の最たる欠点はこうだ。

  • 子音と母音でつねに二つのキーを打鍵するので入力が遅くなる。

残念ながらこれは最終的には正しくない。
確かに、打鍵を覚える当初にあっては、一つの文字を入力するのに、かなならば正にそのキー一つを打鍵したら良いのに対し、ローマ字は子音と母音の二つのキーを打鍵しなければならない。だが、完全に習得してしまった後は、仮に二つのキーであっても綴りを意識することなく指が独りでに二つのキーを瞬時に打鍵するので、単一キーのかな入力と比較してほとんど速度的な遜色がない。仮にかな入力に入力速度の優位があるとしても、十分に習得した後にあってはその差は僅かであって、それが実用上は全く問題にならない。ローマ字入力で有るが故に入力速度で致命的な劣勢を強いられ、それが運命を左右するなんて事は馬鹿馬鹿しくて考えられもしない。

また、実際、清音や濁音単独に関しては打鍵数の差は出るのだけれど、これが拗音などを含んだ実際の文章になると、たとえば「じょう」というつづりならば、かな入力は「し」「濁点」「よ」(+シフト)「う」という打鍵行程であるのに対し、ローマ字入力ならば「j」「o」「u」の3工程であり、こうなるとむしろローマ字入力のほうが打鍵数が少ない。
また、拗音にかぎらず、普通の日本語文章は数字やアルファベットも当然に入り交じっている。ローマ字入力は、数字はそのまま打鍵出来るし、アルファベットもローマ字を覚えた当初に合わせて覚えた配列であるから、基本的に何も戸惑わずに入力ができるのに対し、かな入力であればシフトなどで入力モードを切り替えたりする作業がどうしても発生し、操作はかなり煩雑になる。

つまり、通常の文章入力の場面においては、拗音などが多かったり、数字やアルファベットがそれなりに含んでいたり、つまり通常の日本語文章であれば、ローマ字入力は比較するとかな入力の欠点と相殺されて、打鍵数が多いという事は不利な要件とは全く考えられないのである。

ローマ字入力は、既に市民権を得ている。ワープロ専用機の時代はかな入力がデフォルトだったが、PCの今の時代では既にローマ字入力のほうがデフォルトであり、かな入力はオプションである。
今後は確実にローマ字入力から覚えて、ローマ字入力しかできないという人ばかりになるので、かな入力は間違いなく衰退していく。入力速度に仮に差違が出るとしても、それは余程、職業的に無意味に高速に打鍵する際の比較の話であって、繰り返しになるが習得してしまえば実用上の問題になることは全くなく、入力に要する時間を比較する事は無用である。

今、市場ではそういう傾向を反映して、日本語キーボードからかな刻印を無くした製品も出回ってきている。ローマ字入力を使うならば、キーボードのカナ刻印は全く不要で、デザイン的にも格好が悪いからである。今後、ローマ字入力のシェアが圧倒的になるとそういう傾向はさらに強まり、むしろかな刻印のあるキーボードのほうが珍しいものになるかもしれない。あるいは、たとえば「k」のキーにその子音で入力するか行の「か」のみ、つまりローマ字入力を前提としたかな刻印キーに切り替わって行くだろう。

従って、余程特殊な理由がない限り、かな入力で打鍵を覚えることは全く不要であり、むしろローマ字入力を覚えないと後で大変な苦労をするという状況に至る事も想定される。両方覚える余裕があるなら、かな入力から初めても良いが、将来性を考えると確実にかな入力方式は衰退するため、習得するのはリスクを伴うという事を認識してからにすべきだろう。

アルファベットや数字と同時に習得出来、将来も当面安泰なローマ字入力を選択するか、今後ローマ字入力の台頭により衰退するかな入力をそれでも選ぶか。そういう状況を知った上で自ら頑固に選択するのは構わないが、初心者や子供にはきちんとした見通しを持ってローマ字入力を推薦すべきなのだ。
ローマ字の綴りは小学4年生で習うし、それ以前でも、今は英語教育も盛んだから、アルファベットくらいは読めるだろう。子供は何でも覚えるのが速いので、ローマ字入力で覚えさせて全く問題は無い。
むしろそのほうが、日本語の音韻の仕組みさえも理屈がわかってくるために、母国語の理解に極めて有用でもあり、そういう考えを持つことで合理的な考えを養うことも期待出来る。かな入力であれば、刻印通りのキーを打鍵するので、それなら何の発展性もなく、知能の向上もほとんど期待が出来無いのである。