一太郎2015のスーパープレミアムに付属していることで再び注目を集めている一太郎dashは、かつて名前としては聞いたことがあったが、正直なところどういうものなのかはよく知らなかった。自分が一太郎を使い始めたのはVer.6.3の頃だったので、その頃は既にdashはあったわけだが、調べてみるとdashはVer.4の頃にノートPC向けに機能を限定したりして発売された一太郎の派生版だったようだ。
今、30周年記念で復刻版となったdash 30thも内容的には同様に一太郎本体から機能を削減してまとめられたものとなっている。とは言っても、前にも書いたがこれさえあれば基本的な編集はほぼすべて行えるようになっていて、特に原稿書きに使うという点において重宝する。起動の速い遅いは本体一太郎と比較してもそんなに差は感じないが表示をカスタマイズしてシンプルにすると、テキストエディタのような感覚で一太郎を使うことができるようになる。
だったらテキストエディタで良いではないかというのもその通りなのだが、エディタでは不足することもある。エディタはカスタマイズで更に自分の手に馴染むようにすることはできるし文章を書くために必要なコマンドもだいたい揃っているのには違いないのであるが、たとえば原稿を用紙に印刷してみる場合はエディタよりワープロのほうが完成品に近い形の結果が得られる。どっちにしろ最終的には印刷する文書にする原稿を書くときなんかは、結局ワープロで整形することになるので、最初からワープロで作成してしまう方が都合が良いと思うことがある。
検索などはエディタの方が高度なことができるが、文書の校正や罫線の挿入などは普通できない。校正が必要かどうかはともかく、文書としては整形したり罫線を入れたりインデントをつけておいたりという作業が必要になることも多い。
じゃあ自分の場合の実際はどうかと考えてみると、だいたい半々なのである。最終的に用紙に印刷することが目的のものについては、最初からワープロを使うこともあるが、内容が長文になるような場合などは当初エディタで原稿を書いて、ある程度できあがった段階でワープロでの作業に移る。
罫線表を含むような文書、インデントや行空きが重要な文書については、だいたいワープロから書き起こす。これらの機能はエディタでは実現しにくいからである。
ワープロで起稿するのが憚られるのは、最初から印刷する用紙のイメージになっているというところで、白背景に黒文字というのが目も疲れるし正直あまり好きではない。そういう点で配色をカスタマイズできるエディタで先に原稿を作るというところもあった。
ただ、一太郎の場合はエディタフェーズやドラフト編集画面を使うと、印刷イメージとは別の配色表示環境を持つことができるので、つまりはエディタのような使い方ができる。ドラフト編集モードでは罫線表も扱えるしインデントも表示できるので、ワープロとエディタの良いとこ取りのような感じがして、このところ気に入ってよく使っているのである。イメージ編集の表示に一度も切り替えずに文書を完成させてしまうこともよくあるくらいである。