テキストエディタは秀丸とWZ EDITORを併用している。SDIのインターフェースが好みだ。使い分けなければならないということはほとんどないのだが、同じ結果を生むのに敢えて違った物を使うということでの裕福感を味わいたいと思う。ワープロ専用機の頃では購入した機種の環境しか使えなかったが、パソコンではアプリケーションを複数使うことができるので、ワープロソフトを複数導入して比較したりする、そういう当時からの感覚である。
さて、エディタは現時点では秀丸はVer.8.88、WZは10.0.5でいずれも最新版を使用している。WZも秀丸ももう20年以上前の初期の頃から使っていることになる。
自分が使うのは、このブログの原稿のような各種の文章書き、各種のメモ類作成、各種設定ファイル類の編集、HTMLの編集などとそれらの閲覧というところが主である。プログラミングなどはすることがない。稀にマクロの編集はするかもしれない。
この二つを比較すると、アプリケーション全体としての出来については秀丸の方が優れていると感じる。簡単に言うとWindowsへの親和性が高い。起動や動作も感覚的には秀丸の方が軽快であると感じる。
WZはインターフェースも含めて独自色が強いので、慣れるまでは相当戸惑うし何か設定を変更しようと思ってもその設定がどこにあるのか探すのに苦労するなど、慣れていていても難しい部分がある。WZのファイルオープンダイアログなどは、便利そうなのにどうにも理解することが難しく、その動作が読めず、結局Windowsの標準ダイアログで使っている。
設定する結果としての色分けやキー定義などカスタマイズ性についてはどちらも互角である。エディタでは固定幅のフォントを用いるが、その表示などは秀丸の方が意図通りに綺麗に配置される。WZでは結果的にそうならない場合があってどこを調整したら良いのか試行に苦労する。
表示の関連では、どちらも縦書きに対応している。小説などを書く書かないに関わらず、和文を扱うなら必要な機能であって、これに対応しているかどうかで文章書きのことを考えているアプリケーションかどうかを判断する目安にしている。
WZは古くから縦書きに対応していた。秀丸は当初は対応予定はないとしていたが、Ver.6くらいから縦書きの表示や編集が出来るようになり、いまではどちらも機能的には同様同等のものが備わっている。
秀丸は基本的に拡張子毎に表示設定を切り替える。WZもそういう所はあるが表示設定の切り替えがすぐに出来るような機能も備えていて、拡張子によらずに感嘆に表示の切り替えが出来る点は評価に値する。
また、長文の編集に必要な機能として、どちらもアウトライン解析や編集に対応している。WZは「.」が先頭にある行を見出し行として認識するWZ階層付きテキストを確立し、たとえばこの方式がサクラエディタなどでも認識されるなど、先駆的なイメージもある。
秀丸はどれを見出しにするか自分で設定しなければならないので、WZ階層の典型を共用しようとするとその手間はかかる。
HTML編集は、Zen-coding/Emmetに対応しているWZがかなり優秀である。これの記法を用いてタグの入力ができたり、タグのプロパティの編集が出来る。WZとHTMLに関しては、過去の版でも公式に編集のマクロが提供されていたりして、とにかく強力である。自分が作成したサイトはほとんどこのWZの機能やマクロを用いた物だ。
一方の秀丸では、HTMLのタグや値の色分けなどはWZ同様に強力であるが、編集機能については備えられていない。効率を上げるためにはマクロを探すことになる。入力補完など個別機能のマクロは見つかるが、WZのようなHTMLやCSS編集の総合的なものはほとんどない。あっても、後述するとおりWZのマクロと比較して動作は緩慢である。
CSVはあまり扱わないので比較ができていないが、どちらもCSV表示・編集モードのようなものを備えており、見た目の部分については同じようであると予想している。
検索関連では、どちらも正規表現に対応し、また、Grep検索・置換にも対応し、使い方の差はあっても性能的には優劣がないと感じる。
印刷機能はWZの圧勝である。段組も縦書きも簡易なワープロソフト程度に様々な調整をすることが可能で、そのような印刷設定も定型として保存しておくことができる。通常の文書作業としてはWZのみで完結していい程である。
秀丸はエディタとしては普通で、印刷機能は簡易である。ただし、秀丸パブリッシャーというアドインソフトを使えばそれなりに高度なことができる。
マクロはインタプリタ型とコンパイル型の違いがあり、動作はコンパイル型であるWZのほうが安定し、高速で快適である。マクロは自分では作成できないので他人が作って公開してくれている物を使うことになるが、その種類としては秀丸の方が圧倒的に多い。これは、秀丸のマクロが相当昔に作られたものでも問題ない無く動作するのに対し、WZのは古いものは動作しない可能性が高いことにもよる。
全般的に、WZは市販ソフトであって、その付加価値のためもあるのか機能は豊富になる傾向にある。最初から専用のファイラー機能が付属していたり、アウトライン編集に特化したWZ BoardやWZ MEMO、テキストの暗号化機能を備えていたり、用語の統一やスペルチェック、IMEのような機能もあるし、簡易ワープロとしての書式整形に相当するような機能もあって、それがセールスポイントにもなっている。メーラと統合したWZ MAILもあるなどテキストファイルを扱うほとんどの場面に対応できるよう機能を網羅しているという感じである。
一方の秀丸は正統派のテキストエディタとして、本来機能の充実が主であり、WZにあるような機能は別の専門のアプリケーションに任せるという考えに思える。
WZはMifesと共に市販ソフトの老舗として主要な顧客層は専門学校やIT系事業者などがあるように思うが、秀丸はそういう層に加えて一般のユーザも相当多く、WZよりコミュニティは圧倒的に規模が大きいと想像する。マクロの豊富さや拡張性の点でも、自分で出来ないので他人が作成した物に頼るなら秀丸の方が可能性が高い。
自分はWZを主として使っているが、秀丸はまた別の視点での利点があり、どちらも手放せないツールなのである。