手帳に興味を持って調べて必ず行き当たるのが普通の能率手帳である。今の国産手帳はだいたいこれが基準になっていると言っても良い。自分も、手帳を本格的に使うと決めて選んだときは、当然に能率手帳もその候補で、実際使ったこともある。
クリーム色の用紙やレフト式のレイアウト、歴史が示す安心感、昭和感のようなものが良い。
それを基準にして、もっと好みのレイアウトはある。実際にはそのほうが良いと思って、そんなに何年も普通の能率手帳を使い続けてはいなかった。
気に入らない部分もある。レフト式の右頁には罫線があったほうが良いし、月間の頁はガントチャートではなくてブロック式のほうが良い。紐の栞よりも、ポッチング処理のほうが開きやすい。使い切ったことはないものの、補充ノートはそれとしてメモ帳部分の頁ももう少し多めにあったほうが安心。今の時代はアドレス帳の重要度はそんなに高くない。
そんな考えでいながらも、やはり手帳としての安心感から、普通の能率手帳という選択肢はいつも捨てがたい。もう一つ気になっていたのは、その普通の能率手帳にはゴールドという豪華版があることで、紙質が少し異なるのと、革張りの表紙で、普及版サイズも小型版サイズも税込5500円という、他に類を見ない製品がある。
箱入りで売られていて、小口も金箔塗りであるなど所有欲を満たす。店頭のサンプルで触ったことがあったかどうか、でも1年しか使わない手帳にそこまで費やすべきかと、ずっと今まで選べずにいた。
しかしいよいよ今回から、それを使ってみることにした。理由は上記のとおりで、レイアウトなどに不満がないわけではないが、最も都合が良いサイズと安心感のある製品に、手に馴染む革張りとあれば、やはり使ってみるべきものという感覚は捨てきれない。
実際入手して手に取ってみると、サイズについてはこれまでも使っている小型版サイズなので申し分ない。革の手触りが快適であって小口の金で高級感もある。通常使う万年筆でも書きやすく裏抜けもほとんどない。レイアウトも、気になる部分はあるものの、これが標準なのだと思えば納得して使える。
自分の世代よりもなお年配の人が持つイメージもあるが、若い人でも使っているようなので、そこは気にしないことにする。