会社の仕事でも自宅でも、文章を書く機会はそれなりにある。手書きの環境もあるが基本的にはPCを使って作業をするのが普通だ。文章の校正がしやすいというのもあるし、打鍵する方が手書きで文字を書くよりも入力の速度が倍以上速いので、特に長文になるような場合はこれしか選択肢がない。むしろ、いつも打鍵で長文も苦ではない分、余計なことを書きすぎたまま、あまり推敲もせずにリリースしてしまう。たとえば、この文章がそうだ。
そういう文章を書くPCの環境、使うソフトウエアの環境としては、基本的にはテキストエディタである。少し前の投稿で画面を貼り付けたこともあるが、シンプルな入力画面で、それもツールバーやタブなどは極力表示せずに、ただ文字入力にだけ集中できる環境にしているつもりだ。とはいえ、今はネットがあるのですぐブラウザを起動して集中が途切れてしまうことも多い。
かつてはワープロ専用機を使っていた。文書作成の機能の専用機であるから、それ以外の作業に心が奪われることはほとんどなかった。いや、考えてみるとこの頃もその機種の各機能を全部マスターするかのようにだいぶ集中が途切れていたのも思い出す。
それはともかく、PCを使うようになってからは基本的にテキストエディタで文章を書く作業をしてきた。おそらくそれがベストで、多分それは今後もずっと変わらないと思っていた。
ところが、最終的に印刷するような原稿は、文章を書いた後で整形して文書化しなければならない。整形して印刷するのはやはりワープロソフトである。エディタでも不可能ではないが、ワープロには敵わない。
ワープロソフトが、エディタ的な機能をサポートしてくれたら、そういう文書を作成する場合の最適なものとなるのではないか。今のPCの環境では、ワープロソフトだから動作が緩慢で、というようなことも気になるほどではない。
そんな思いもあって、しばらく使っていなかった一太郎に回帰してみると、まさにそれに適った機能が装備されている。
一太郎には文書作成に至る作業をフェーズという考えで区分していて、エディタフェーズとか基本編集フェーズとかに分かれている。これは作業モードを切り替えるというものなので、そこを切り替えても文書の内容には影響しない。画面の配色もフェーズ毎に切り替えることが出来て、エディタフェーズはよりテキストエディタに近く、基本編集フェーズでもドラフト編集モードだと、昔のワープロ専用機のような簡易イメージ画面で、この二つのいずれかが単純な文章入力には適している。
シンプルな画面が好みではあるが、文字数カウントやATOKの連携モードの表示などをサイドバー、ツールパレットと呼ばれる部分に表示すると、まさにエディとは少し違った文書作成専用マシンのようなイメージで、そういうマシンで作業をしているのだと思うと作業も捗りそうでもある。
結果としては同じものが得られる同じワープロソフトのWordはどうかというと、そういうモードの切り替えはあるにはあるが、画面の配色の切り替えなど、一太郎ほどの自由度と文章執筆へのこだわりのようなものはあまり感じられない。
一太郎が歴史ある国産ソフトで、日本人が日本語の文書を作成するためのノウハウをそれだけの期間つぎ込んできたということは、改めて使うようになって実感している。
テキストエディタで書くつもりで一太郎を使ってみると、自分が扱う文章量などの範囲では動作速度が遅くて困るというようなことは一切無く、むしろそういう文書作成に特化した機能が使えることが快適である。エディタはエディタで今までどおりこれも快適で、テキストエディタとの組み合わせを行うにしてもこれはもう一つ良い選択肢を得たと、最近思う。
そういうわけで、このエントリーは一太郎で原稿を書いてみたのである。