一太郎などのワープロでもWZなどのテキストエディタでも、全うなものなら縦書きができる環境が用意されている。ワープロ専用機の頃から、印刷での縦書きはできるようになっていたが入力環境でも満足に縦書きができるというのは、当初は新鮮で待望の機能だった。
そういう環境はあるとしても、実は縦書きをしなければならないという義務もなく、頻度としては圧倒的に横書きが多く、縦書きは気分的に使ってみる程度だ。そういう状況だからというのもあるが、たまに縦書きモードで入力をすると、違和感が大きい。慣れないせいで使いづらく感じることも多い。
縦書きは、字数・行数、つまり字間や行間が横書きとは違う最適値があって、モニターの縦横の関係もあるが横書きよりは一画面に収まる字数がどうしても少なくなってしまう。全体を見渡した時に得られる情報量が異なるのである。書いた内容を見返すときの視線の移動方向も異なり、それも慣れないのでストレスを感じる。把握できる文脈の量が異なるので、次に出てくる文章の捻出にも影響がある。
今、この文章も縦書きで書いてみていて、WZ EDITORで原稿用紙に近い画面設定としている。マス内に文字が入って表示され、ルビ領域の行間もある、まさに原稿用紙スタイルだ。これだと字間も行間も大きめに取ってある。これの設定を少し変え、原稿用紙の枠を非表示にして字数なども調整してもう少し多い情報量としてみると、まだ少しスムーズだ。
実は同様のことが用紙の場合にも言える。
原稿用紙だとマス目があって字数・行数が限られる。用紙が勿体ないとか以上に、全体の字数が決められてしまうので、情報量が制限されて文脈の把握率が低くなる。同じ縦書きをする場合でも、便箋などの用紙に自由に縦書きをするほうが、まだずっと書き易い。
そういう点以外に、パソコンではスクロールの操作も、マウスのホイールを回したときに先頭方向にスクロールするのか末尾方向なのかというのもあるし、カーソルキーやATOKの変換操作キーも縦横変換して考えるべきなのか、縦横共通の操作なのかと毎回迷う。これもまた悩ましく、結局は使用頻度の多い標準的な横書きが楽だということになって、その普通のモードばかりを使ってしまうという結果になるのである。
それでも、ここまで縦書きの環境で書いて少しは慣れたか。