PCのキーボードを使った標準的な和文入力の方法は、ローマ字入力である。
かつて、まだワープロ専用機が普及していた頃まではJISかな入力が主要な入力方式で、かな漢字変換の説明もJISかな入力が基本で初期値だった。つまり当時はJISかなを使う人が多かったし、親指シフト方式を使っている人も少なからず居たと思うが、今はどちらも少なくなった。
ローマ字入力は子音と母音の組み合わせという理屈で覚えることができるので習得しやすい。五つの母音と各行の子音キー、長音促音拗音などの幾つかのルールを覚えるだけで良い。JISかな入力は、盤面のとおりにすべての仮名の配列を覚えなければならない。
しかし、いずれも習得してしまった後は、入力速度に関してはそんなに変わらないという。
当時はまだJISかな入力とローマ字入力の割合が半々というところで、しきりに双方の利点欠点が主張されていたが、今は概ねローマ字入力に収斂されてきている。
ローマ字入力は特別優れた入力方式とは思わないが、標準となっている以上、これからもPCとキーボードを使い続けていくのであれば無視することは不可能である。従来JISかな入力だった人もローマ字入力を覚えて、今は両方使えるという人も少なくない。
ローマ字は小学校で習ったが、その後も時々和文をローマ字で書き表して遊んだりしていたこともあり、かな入力で盤面を覚えるより少ない労力で、すぐにローマ字入力を習得することが出来た。ブラインドタッチもローマ字入力で覚えてできるようになり、入力速度も向上した。
ローマ字入力から派生した拡張的な配列を経て、Dvorakをベースにした別の入力体系を使っているが、それでもローマ字入力は時々使わざるを得ないこともある。
サポートなどで他人のPCを操作するとき、共用のPC、サーバ等をリモート操作するとき、あるいはPC以外のQWERTYキーボード機器、テプラやポメラで入力するときなど、どうしてもローマ字入力は必要になる。
違う入力配列を使っていたとしても、ローマ字入力は忘れたわけではない。互いに操作を切り替えたときは混同もするが、使えなくなったわけではない。
今後、スマホのフリック入力が主流になっていったとしても、業務用でも専門用途でもPCとキーボードが有る限りはこれだけ普及したローマ字入力の方式は、今後もこのまま使われていくのだろうと思う。