SAILORには、極黒と青墨という微粒子顔料インクがあるが、PILOTには万年筆用の顔料インクがこれまではなかった。だがこの度「強色(つわいろ)」というインク3種類が発売されるようだ。発売されるのは、ブルー、ブルーブラックとブラックの定番3色で、価格は1100円、容量は標準インクの小瓶と同じ30mlである。
しかし、さすがに扱いの難しい顔料インクだけあって、かなり使える万年筆やコンバータを選ぶようだ。比較的新しいコンバータのCON-40は使えるが、大型万年筆用のCON-70は従来型のは使えず、CON-70Nという攪拌用と思われる部品が付加された新型タイプのものでなければならない。また、プランジャー式のカスタム823や漆製品などは使用できないとされ、おそらくカスタム845も使えないということになるので、なかなか自分が所有している多数のPILOT万年筆もすぐに使えるというものがないのが実情である。
プランジャー式が使えないのは、インクボトルが30mlタイプだけしかないから、ということでもないとは思う。他にもジャスタスなどが使えない万年筆とされている。
カスタム74、742、743やエラボーなども所有しているが、この顔料インクを使うためには、コンバータを買い足す必要があって、それなりに使い始めるまでのハードルは高い。
プリンタ
概ね半年経つ。そんなに使わないが、まだ全色インクを交換していない。年賀状の印刷をした時に最も使ったと思うが、まだセットアップインクが取り付けられている色がほとんどである。写真はほとんど印刷していないということに起因するのだろうか。
これだけの持ちが良いなら、少々インクカートリッジのコストが他のプリンタに比較して高くても、そんなに負担になるわけではない。
前のプリンタは、もう少しインクコストは安かった気もするが、6色で本数は多かったのでそんなに変わらない。そればかりか、メンテナンス動作で相当量のインクが消費されるようで、頻繁に交換が発生していたし、1色ずつメンテ動作を繰り返すので、印刷が始まるまでに随分待たされることも少なくなかった。
縦書きのキーボード
WZ EDITORも秀丸も、縦書きに対応している。もちろん一太郎などのワープロソフトも対応している。文芸作品や記事を書く人などは、原稿字数に合わせるなどして、そういう縦書き環境で書いている人も少なくない。自分もそんなものを書くというわけでもないが、時々縦書き環境を必要として、WZでは表示を切り替えて書いたりしている。PCはそもそも横書き文化のものであるので、初期の頃、どうやって縦書き入力ができるようにしていくかということが問題になった。幾つかのアプリケーションはやがて縦書きに対応したが、今でもそんなに増えてはいない。
問題の一つは、縦書きと横書きを共存させることである。全て縦書きにするならもっと容易だったかもしれない。何しろ文字入力の方向を変えることになる。これが左右か右左かというなら、同じ横方向で逆なので素人考え的にはまだ易しいと思うのだが、縦方向と横方向は軸が違うので厄介である。中国語文化などはもう縦書きはほぼ使われないのか知らないが、とにかく縦書き文化は我が国特有でもある。
そういう文字配置の違いもあるが、差し当たって縦書き入力をするユーザ側が入力作業をする場合において、感覚の変更を求められるのは、カーソルキーの移動方向である。横書きでは左右方向なのに、縦書きでは上下方向になる訳なので、文章入力時はカーソルキー操作も上下矢印キーでの操作が増える。これが、普段横書きを使っていると中々慣れない。
WZでは、ダイヤモンドカーソルとして、Ctrl+E,S,D,Xに上下左右のカーソル移動を割り当てているが、これは横方向移動は便利であるものの、縦方向の移動に用いる場合はそんなに良い割当でもないかも知れないと思えてきた。
CtrlキーはAの横にしている。これでESDXのキーとのコンビネーションがし易いと思っているものの、特にCtrl+Xの下方向キーの打鍵がしづらい。Ctrlキーを小指で、Xキーは薬指で押下するので、位置的につらい。文章入力中、咄嗟にカーソルを移動したいときにその移動キーミスタイプとなって作業が止まりストレスになる。やってみると実は上方向のCtrl+Eもやや打鍵しづらい。つまり、縦書き入力の時の文字方向移動がやりにくいのである。単語ごとの移動は、これも割当でCtrl+FやAなので、これは縦書きでも変わらないものの、カーソル移動だけは上下左右方向を入れ替えて操作しなければならないところが難しいのである。
ただし、WZでは縦書き時にダイヤモンドカーソルを入替、という設定にしているとそうなるのであって、その設定をしていないと、左右方向のダイヤモンドカーソルで、文字方向つまり上下に移動するようにすることもできる。そうなると今度は行方向が上下方向キーとなるので、その感覚がおかしくなる。どっちに設定しても一長一短ということである。
従って、縦書きの際のカーソル移動は独立した矢印キーを使った方がミスタイプを誘発しないので、矢印キーに頼ることになるが、それだとやはり右手を移動させなければならないので、これもまたやや億劫な動作となるのである。
HHKBでもカーソルキーはコンビネーションであるが、これは打鍵しやすい。慣れもあるものの、こちらは右手の移動距離も少なく、また、上下キーは人差し指や中指での操作になり、同じコンビネーションでもそんなに操作しづらい感じが無いのが意外だ。
ならば、HHKBでない普通のキーボードでも、右CtrlをHHKBのFnキーに見立てて、右側のEnter付近にあるキー4つを、カーソル移動に割り当ててはどうかと思い立った。
自分はUS配列キーボードなので、その4つとは、[ ; ‘ / の4つ。全て記号キーなので、こうして書いただけではわかりにくいが、要は、HHKBのカーソルキーと同じ割当をするわけである。
だが結果としては不可能だった。WZでは、これらキーのうち;と’のキーには機能を割り当てられない。;キーについては、:キーとして指定することで割り当てられたが、シングルクォーテーションの’キーはどうやっても割り当てられない。割り当てられるキーのリストにも表示されないのである。
縦書きでは、他にも変換候補の表示をちゃんと縦書きで表示するかどうか、入力中文字列もちゃんと縦書き方向に表示するかどうかという点もある。この辺は、エディタ側の対応と、IME側の対応がどうなっているかという組み合わせの問題がある。Google 日本語入力では、横書き方向にしか候補は表示されない。MS-IMEやATOKはきちんと縦書き方向に表示される。そういう違いはある。
いずれにしても、縦書きはまだ幾つか、そういう課題が残ったままである。