フィルムカメラで撮影したフィルムは現像へ出す必要があり、たいていは同時プリントをしてもらった。フィルムの現像と各コマを1枚ずつ、サービス版(Eサイズ)でプリントしてくれるあれだ。
当時は近所のスーパーや個人商店などでも取り次ぎを行ってくれていて、自分もその昔フィルムカメラで写真を撮っていた頃はそういう所へ持ち込んだのだった。
フィルムを出すと、現像のみか同時プリントかを尋ねられる。基本は同時プリントなので、あえて現像のみと言わない限りは同時プリントになる。写真のサイズもたいていはそのサービス版が基本なので、これもそれで良い場合は何も言わなくても良かった。紙質が絹目か光沢か、フチ有りかフチ無しかという事も尋ねられる。自分の周りでは70年代くらいまではフチ有りが一般的だったように思うが、80年代くらい以降では光沢フチ無しが一般的になってきていた。自分も仕上がりでは光沢フチ無しが最も好みであったので、たいていそれを選んだ。
当時、現像料が400円程度、サービス版1枚は35円程度であったから、36枚撮りフィルムを同時プリントに出すと、1700円近くにもなる。学生時代の自分には大きな出費であって、フィルム代もあり、当時のフィルムカメラではそう簡単に何でも撮影するという行為自体が躊躇われたのだ。
そのうちに、現像のみという選択肢があることを知り、まず現像だけしてもらって、蛍光灯にネガを空かして出来を見極め、これはと思うコマを指定してプリント(焼き増し)に出すという事をよくした。ネガから判断するのは至難の業ではある。
最近は同時プリントも数十分程度で仕上がるのだろうが、スーパーなどでは取り次ぎのみなので、1日から3日程度、1回の発注では時間を要していて、撮影した結果がきちんと写真で得られるまでに数日を要するのが普通だったのだ。
写真屋に出せば速いのかと思ったが、そういうところでも都市部の店舗以外は取り次ぎのみの店があり、同様に日数を要していた。
そんなような面倒さが、自分からフィルムカメラでの撮影を遠ざけた。自分で現像するという選択肢もあるにはあったが、ネガカラーなどでは高度な処理技術とそれの為の機材を要求されるので一般的ではなかったし、学生が小遣い程度で始められるようなものでもなかったのである。
後にAPSカメラではインデックスプリントも行われるようになったが、もうその頃にはデジタルカメラが普及し始めていた。