ボウリングの設備は、割と古い時代から多くの部分がオートメーション化されていたところが他の娯楽との違いでもあり、また子供の頃に見たそういう機械の動きがとにかく興味をそそるものであった。何よりピンを自動的にセットするカバーで覆われたマシンはどうなっているのか、ずっとその裏側を見たいと思っていた。
学生時代に一度、裏側を見せてもらったことがあるが、詳しく見たわけではないので仕組みはよくわからず、大きな動作音だけが印象に残っている。
BrunswickのA-2というマシンが古くから使われているのを知っていた。ピンセッターのカバー部分に大きく表示されていてレーン側からでも確認できるからである。
最近はYouTubeにそれ以外のものも各種マシンの動作の動画がアップされているので、それを見ると動きがよくわかって参考になる。
そもそも、ピンセッターの基本的な動きはこうだ。
1投目が投球されてボールがピンデッキ手前のセンサーを通過すると、それを検知してスイッチが入り、スイーパーが下りてくる。スイーパーとはセンター名やBrunswickなどメーカー名が表示されて、ピンを払うあのバーである。これもまた、自動の動作がなんとなく不気味で興味を持ったパーツである。
続いて、上からピンを配置するピンセッターの機構部分が下りてきて倒れなかったピンを掴み上げると、スイーパーが後方に動いてデッキに残ったままのピンを払ってピットに落としてから、また残ピンをセットし、スイーパーを上げる。
このときに掴み上げるべきピンがゼロ、つまりストライクの場合はマスキングユニットの「×」などのストライクマークを点灯させつつ、新たな10ピンをデッキに下ろしてセットし、次のフレームの1投目として動作する。
1投目で残ピンがある状態でスイーパーを上げた後、2投目が検知されると、再びスイーパーを下げるが、今度はピンセッターは下降せず、残ピンの有無に関わらずそのままデッキ上をスイーパーが動いて、残った全てのピンを払い除ける。
その後、新たな10品をデッキにセットする。
ピットでは、ボールとピンが大きさで仕分けられ、ボールはリフトアップされてレーンの間の通路を転がせられてリターンユニット側へ戻される。
ピンはピンエレベータという仕組みで機械の上部に持ち上げられ、上方向からピンセッターにセットされる。
2大メーカーのBrunswickとAMFでは、このピンをセットする機構部分に大きな差があるようなのだ。BrunswickのA-2というマシンでは、ターレットと呼ばれる回転する籠にリボルバーの弾丸のようなスタイルで、立ててセットされる。その下にピンセッターがあり、セッターがデッキにピンを設置して空になると、このターレットから10本が落とされてセッターに送られ、セッターはその立てた状態のまま下降して定位置にピンをセットする。
AMFの82系のマシンでは、ディストリビュータと呼ばれるベルトコンベアが、デュラビンと呼ぶらしい配給トレイ上を順に移動しながら10本を寝かせた状態で配置する。その下のセッターが空になると、デュラビンの底が開いて落とされ、セッターにも寝かせた状態でセットされる。デッキには、その寝かせた状態のピンを立てて定位置にセットするのである。
Brunswickの最新のマシンでは、ターレットを使用せず固定された複数ラインのディストリビュータ上をピンが流れながらAMFのデュラビンのようなトレイにセットされ、以後は82系と似た要領でセットとする。AMFはデュラビンの1カ所につき2本までストックできる仕組みになっている。Brunswickの新しいGS-Xというマシンでは、デュラビンにセットできるのは各箇所1本のみで、あふれたピンはディストリビュータからピンエレベータの側へ戻されて巡回するようだ。
スムーズにピンを供給するためには、20本から22本のピンを1台のマシン内でサイクルさせる必要があるらしい。
この二つのメーカーのA-2と82系のピンセッター(AMFはピンスポッターというらしい)は、レーン側から見ても違いがある。A-2はセッターにカバーがかけられていて、ピンをセットする様子が見えないが、AMFの82系は、フレーム部分だけなので寝かされたピンが立てられてセットする様子がよく見えて、こちらのほうがなんだか格好が良いのである。Brunswickのターレットを使用しないタイプのマシンも、82系とセットの仕方が似ているのでこれも悪くないかも知れない。
YouTubeで、関連動画を見ていると、こういうマシン以外にもタイプはいろいろとあるのがわかる。古いものなのか、ピンの上部にストリングがついて、上から吊してセットするスタイルのものもあるようだ。これはピンアクションが変わってくるので、公式ルールのボウリングとは少し違うものかもしれない。
さらには、レゴでこのBrunswickやAMFのピンセッターを再現したものあって、これもまた面白い。