簡単な表現なら読んだり聞いたりしてわかる程度に、くらいの気持ちで数年前から露語学習を続けている。以前にも初級域で学習していたことがあるので知識はゼロではなかったが、改めて始めても思うようには習得できない。
初級レベル卒業か中級の入り口、英語で言えば高校レベル程度を目標にしたら、一般的な表現は概ね理解できるかと、そういう程度の軽い気構えで、必要に迫られているわけでもないので気楽にやっているので、それで良いのである。
教材は、以前使った白水社の「エクスプレスロシア語」を引っ張り出してきたのだが、ソ連時代のものなので、それからはきっと進化したテキストがあるだろうと書店に足を運び、同じ白水社の「標準ロシア語入門」などをはじめてみた。以前から時々眺めていた絵で見るロシア語なども併用しながらだったが、これらも初版は古いものでもあって、そういう独学ではなかなか身につかない。
ほかにも色々と、単語集的な書籍やキクタンの露語のも揃えたり、元々使っていた博友社のロシア語辞典、三省堂のコンサイス露和、和露に加え、最近発売になった小学館のプログレッシブロシア語辞典なども学習や露語の調べ物用に買い集めてある。
NHKラジオの語学講座もあるではないかと、ちょうど時期が4月の初めだったので、ラジオレコーダーまで用意して聴き始め、それから今でも「まいにちロシア語」である。
この講座には書籍のテキストがあって、それを毎月購入するのも集める面白さがある。
再放送番組の「アンコールまいにちロシア語」があった頃は、この書籍テキストが半年分が1冊にまとまっていて教材として非常に便利だったのに、今はそれがない。
ラジオ講座は、再放送講座もあるが毎年新作の講座が作られているので、それなりに最新の露語を学べることになる。短時間でも毎日聴くということでの効果か、書籍テキストを一人で読みながらの学習よりは確実に効率は良い。
こういう講座のテキストは露語に限らずスキットが最初にあって、それに関する文法事項などが次ページにあるような構成になっているのが普通だ。名詞や動詞の変化をはじめとした、各種の文法事項も上手にまとまっている講座もあり、その部分だけ集めてまとめたら、初級なり中級なりを学習するのに良い単位になるのだろうと思う。ところが、毎月各号に分散していると、どの文法事項がどの課だったのか、それを探すのは至難の業である。それに、講座は回数も範囲も限られているので、知りたい部分の文法などの事項が省略されていることもよくある。
そういうところを補完するのは、こういうテキスト形式の学習書ではなく、文法を一通りまとめたような学習教材なのだろうと思い、色々と探してみたのだが、難しすぎたり少々高価すぎたりと、どうも自分にとって適切なものが見つからなかった。
今年2月にNHK出版から発売された「これならわかるロシア語文法」をラジオ講座のテキストにある広告で知った。新刊でもあり、ラジオ講座の講師でもあった先生の著でもあり、先日ある書店で見つけて期待して手に取って見てみると、見やすく内容も充実していると思ったので迷わず購入した。
改めて中を見ると、自分が知りたいと思うような文法事項については完全に網羅されている。解説も詳しく、しかもわかりやすい。ネットのレビューなどを見ても、その内容の充実性が高く評価されている。露語で一番厄介とも言える変化型もそのバリエーションが全て一つの表に全てまとまっていたり、名詞の変化をパターンに整理したもので章が立てられていたり、数詞の関連でも多くのページが割かれている。別の事項へのナビゲーションも適切で参照しやすいなど、帯にあるように「この1冊で」露語の文法で必要とすることの全てがわかるのではないかと思う。少なくとも自分程度のレベルにはこれ以上のものは必要ないと思える。
そもそも露語は教材の選択肢が少ない。きちんと比較したわけではないが、露語学習のためには必携の書と言っても良いレベルと思える。文法書であるので、単語を学習したり日常会話を学習したりするのにはこれだけでは足りないとしても、文法を知りたい調べたいという時にはこれが一番役に立つ。全くの初心者には少しハードルが高い部分はあるが、何らかの初級講座を一通りやってみた後から中・上級に至るまで、レベルに併せて活用できるのではないか。
やや分厚いが、文法書なので最初から全て順に読まなくても、必要なところを読むという使い方で良いのだろう。
読み進めていると、講座の先生の喋り方がラジオ講座の時のように再現されてしまうのもまた少し面白い。